■ダイオードの役目とは
FETのソースに順方向に接続されているダイオードは、FETの動作電圧を設定するために設けたものです。まず、OPアンプ(差動アンプ)の、反転、非反転入力を同電位、出力も同電位という条件で動作点を求めました。非反転入力電圧(下図361回路C点)を電源電圧の1/2とし、出力(同図D点)も同電位とします。
FETのゲート電圧(A点)は、NFBに電流が流れていない(PDがパルス電流を流していない)時は、
電流が流れないので、A点電位=D点電位となります。
ここで、FETのVgsを-0.6Vと設定すると、ソース電位(E点)は、E点=A点+0.6V=D点+0.6Vとなります。OPアンプ反転入力B点をC点と同電位(=D点)とするためには、B点とE点間に順方向にダイオードを接続すれば、全体電位の辻褄が合います。 ダイオードをそのために入れました。
実際、回路を組んでテストしてみると、Vgs=-0.6Vは、ゲインが高すぎてかなりノイジーであることが分かり、更に最適点を実験的に求めてみると、Vgs=-2.4V~-2.8Vぐらいになりました。ソース電流は0.4mAほどです。実験で使った2SK246はBLランクで、Idssは9.8mAです。遮断領域に近いところになりました。 最適点は、ソース抵抗を20KΩ半固定VRにして、ノイズと信号強度の両面で両立するように抵抗値を可変して探りました。
結果的に、反転入力電圧が非反転入力電圧より0.1Vほど高いところで最適値になりました。
反転入力が高いということは、出力電圧は低くなり、これはFETのVgsを拡げる方向になるので、収束方向になります。つまり、最適値をOPアンプのDCオフセットを許容して決めたことになります。ただし、DCオフセットは次段のカップリングの際にHPFを兼ねるコンデンサで接続(AC結合)されるので、極端なオフセットでなければ問題ありません。(DCオフセットとは、C点電位(中点)に対するという意味です)
・・・という経緯で361回路が生まれました。
なので、このDCオフセットが許容範囲内であるならば、ダイオードも外せます。
逆に言えば、ダイオードを順方向にシリーズに並べ、最適電位にすべきという考え方もあります。いずれにしても、シンプルな回路で目的を達成させるのが当初のもくろみでもあり、ダイオードを外したときの動作点を実験的に検討してみました。
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